Merry Xmas
kauzak
東京近郊の街のクリスマスには雪が似合わなくて
サンタクロースの正体がこの僕だと
子供たちは知ってしまったけれど
それでもプレゼントはうれしいもので
僕のことをパパサンタさんとか呼びながら
プレゼントをせがむ
やれやれと思いながらも歳を重ねるごとに
家族のことを思う言葉は丸くなっていく
子供のころに親に感じていた不満も
自らが親になってみると
ただ危なっかしい子供たちが心配で
心底
心配で
けれど人は無器用で
ぶつかるようにしか本気では触れ合えないから
子供たちを思う親心ってものは
不躾で不格好なのだと分かってきた
家族になること
親になること
それらの意味が少しずつ染み込んでいくと
感じているこの瞬間が僕にとって
サンタクロースからの贈り物なんだ
子供たちへのプレゼントを買いに夜の街へ
クリスマスにふさわしい冷たく張りつめた空気
街を彩るイルミネーションの冴えた光
足りないものは何もないから
子供たちには聞こえないよう
そっと
呟いてみる
Merry Christmas