Merry Xmas
kauzak

東京近郊の街のクリスマスには雪が似合わなくて

サンタクロースの正体がこの僕だと
子供たちは知ってしまったけれど
それでもプレゼントはうれしいもので
僕のことをパパサンタさんとか呼びながら
プレゼントをせがむ

 やれやれと思いながらも歳を重ねるごとに
 家族のことを思う言葉は丸くなっていく

 子供のころに親に感じていた不満も
 自らが親になってみると
 ただ危なっかしい子供たちが心配で
 心底
 心配で

 けれど人は無器用で
 ぶつかるようにしか本気では触れ合えないから
 子供たちを思う親心ってものは
 不躾で不格好なのだと分かってきた

 家族になること
 親になること

 それらの意味が少しずつ染み込んでいくと
 感じているこの瞬間が僕にとって
 サンタクロースからの贈り物なんだ

子供たちへのプレゼントを買いに夜の街へ
クリスマスにふさわしい冷たく張りつめた空気
街を彩るイルミネーションの冴えた光
足りないものは何もないから

子供たちには聞こえないよう
そっと
呟いてみる

Merry Christmas


自由詩 Merry Xmas Copyright kauzak 2008-12-24 20:18:31
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