捨て猫
智鶴

寒い日の深夜だったか
公園のそばの道端に
捨て猫がいた

寒いよね
ごめんね
私、アパートだから
飼えないんだ
ごめんね

ねぇ
今まで何人の人が
私みたいにキミを
見捨てて来たのかな
私みたいに
何も出来ないふりをして
殺して来たのかな

ねぇ
キミはこの世に生まれてきて
どれだけ幸せだったの?
この世の誰も恨んでいないような
そんな無垢な瞳で
私を責めないで

きっとこうして誰からも
無機質な哀れみの目を向けられるだけで
そこに正しく生まれただけで
冷たいまま
死んでいくんだね

小さく弱い命が
与えられた命が
美しく醜い命が

可哀そうだね


自由詩 捨て猫 Copyright 智鶴 2008-12-21 20:46:58
notebook Home 戻る