歩いていたら
オイタル

歩いていたら
へこみに落ちた
泣きそうだ
四方八方が冷え込んで
吹き落とされた怒りとあせりが
地面に貼り付く
ちくしょう

雪深い闇に
遠く淡く光を伸ばしていく電車の影
どんどん呑まれていく
どんどん

凍える激情が
窓枠に白く傷を残した
翼はつかみどころを失って
傍らのだれかれにもたれそこねて
さっさと
舵を切って

歌っていたら
突き飛ばされた
息詰まる道
ちくしょう
急き立てる雪積む川
オリオンを掲げた夜空が
暗い歩道に
たたらを踏む
ちくしょう

頭上を渦巻く雪の粒に
映る百万個の
千万個のわたしの影


自由詩 歩いていたら Copyright オイタル 2008-12-20 00:20:06
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