小川 葉

 
十くらいはなれた
妹に
よく似た娘に
やさしくしてしまう

やさしくした後で
そのうかれた顔は何だと
誰かに言われたわけではないけれど
きっと僕は
そんな顔をしてる

もっと
やさしくすればよかった
ほんとうの妹は
嫁いでしまったから
まだ嫁げていない
妹みたいな
娘がかわいくて
せつなくて

満たしきれなかった
兄妹の
愛の隙間を埋めてしまいたい
気持ちになる

明日は妹の誕生日

一年に一度でも
少しずつ
気持ちで埋めていけたなら
死ぬまで帳尻が
合うような気がして

その日もやはり
妹に
よく似た娘に
やさしくしてしまう
 


自由詩Copyright 小川 葉 2008-12-08 00:44:20
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