冬の馬
石瀬琳々

駆けて来る
駆けて来る
薄氷を割るように
静かなギャロップで
はるかの足並みで


銀のたてがみをひるがえし
地上へと駆けて来る
お前の目の中で火が燃えている
お前が見つめると
また樹木が赤く葉を落とし
お前の蹄のあとで
草原には霜がちりちりと降る


遠いいななきがやがて
雪を呼ぶだろう
お前の透き通った肌のような
厳かな冷たさで満たして
白を呼ぶだろう
お前はそして立ち止まる
立ち昇る吐息と同化するように


おいで 冬の馬よ
わたしのもとへ駆けて来い
足跡を刻むように
あざやかなギャロップで
わたしのもとへ



自由詩 冬の馬 Copyright 石瀬琳々 2008-12-04 13:42:36
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