そらに、へいこうせん
たりぽん(大理 奔)


空に平行線をさがしてみます
飛行機雲も虹も
いつか山の端と交差して
対角は等しいのです
さっき雲の切れ目から
幾筋もの平行線がさしていましたが
やはり水平線と交差して
錯角は等しいのです
夕刻を告げる鐘楼の音を
散歩の犬が見送ります

長い髪はどうでしょう
肩の端と交わっても
その先でとぎれて
揺れてはいないでしょうか
街灯りを絡めたりはしていないでしょうか
いつまでもどこまでも
交わらないものは
どうして美しいのでしょう
それをうつくしいとおもうのは
雁を見送る林檎の樹のようで

そらにさがすときは
星を見上げる角度のようです
地面にばらまかれたものなら
いくつかは拾えたでしょう
私の立つ世界は
どこもかしこも平行線だらけで
分度器のような月が
私の傾きを測るのです

街灯の影と
私の影の交わる対角は
いつもいつも等しいのです



自由詩 そらに、へいこうせん Copyright たりぽん(大理 奔) 2008-12-03 22:33:21
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