子供たちの秋
小川 葉

 
木枯らしに吹かれて
落葉たちが駆けていきます
その先で
誰かが待ってるかのように
子供たちが
追いかけていきます

それは
生きるための
練習のようにも見え
あるいはいつか死ぬまでに
刻みつづけなければならない
時を輪切りにしたような
かたちを落葉はしていました

ベンチに座る
老人がそれを拾います
一枚一枚見覚えがあるようです

帰ってきた
子供たちがベンチに座ると
どうしてここは
あたたかいんだろうと言いました

今もそこに
誰かが座っているような
あたたかいベンチから
真っ赤なもみじが
空にむかってどこまでも
どこまでも浮かんでゆくのを
言葉にできずにただ見つめてる
子供たちが言いました

どこにでもいる
ふつうの子供たちでしたが
今は老人になって
そう言いました
 


自由詩 子供たちの秋 Copyright 小川 葉 2008-11-17 22:44:42
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