ひとつのマニフェスト
みつべえ
あなたが本当に美しいのは
意味の脈絡からはみ出すとき
風物の呪縛をたち切るときだ
わたしたちはもっと大胆になろう
わたしのささやかな所有がわたしを名づけてしまい
それと知りながらそれを明示できないわたしの怠惰
だってさあそれをするのは自らの卑小さを名づけることで
いったん言葉にするともう他の命名ができないような
せっぱつまったせまい感じになってしまいそうなんだ
それに人間って移ろいやすいものだから
いつまでも同じ名前では呼べないと思うんだ
わたしの自己弁明はみっともないか
あなたの興味をひくために
ことさら自分の傷を晒してみるべきか
これは散文なのか詩なのか
わたしはわたしへ向かってかぎりなく遠ざかる
わたしはコンテクストを逸脱する瞬間が好きだ
読みかえさない潔さが好きだ
ただひたすら前へ前へとかいてゆく
いまはそういう時期なのだ
わたしはわたしを統御できない
あなたを痛切に想う
あなたが好きだ
好きだ好きだ好きだ