「ありのまゝに あるがまゝに」 Ver.2
長谷川智子




 ありのまゝに あるがまゝに
 私は日々を過ごしている

 雲のように移り変わるよしなしごとも
 お茶のように喉をすらっと流れることも
 みな私をとりまいている



 ありのまゝに あるがまゝに
 月日は流れ移りゆく

 あのころふさぎ込んでいたあのひとも
 今は地道に生きている
 地元に架かる大きな橋をなおしたい
 そんなことを言っていた



 ありのまゝに あるがまゝに
 旧友から便りが届く

 「結婚しました」おめでとう
 そして「教えてくれて、ありがとう」



 ありのまゝに あるがまゝに
 昭和は確かに遠くなる

 昨日爺ちゃんが亡くなった
 彼が遺した古びたノートに
 「昭和四十二年十二月四日、初孫生れる。裕志と命名する」
 その僕はもう中年になっている
 ちなみに繁殖できる予定もない



 ありのまゝに あるがまゝに
 疑似ハワイで迎える正月

 いや、これは違うな



 ありのまゝに あるがまゝに
 赤い着物を着ている

 たんす屋で20%offで買った
 鮮やか過ぎて恥ずかしがられるモノ
 それでいいんだ
 そこのけそこのけ
 私が通る



 ありのまゝに あるがまゝに
 あの大作家が書いたライトノベル

 ジュブナイル書いてたんだから
 ぜんぜんおかしくないっしょ
 ってかむしろ遅いくらいw



 ありのまゝに あるがまゝに
 私は人肌を求めている

 全く無いととても淋しくなり
 過ぎ去ったあの頃の影を思い出す
 誰でも良くは ないのだけれど・・・



 ありのまゝに あるがまゝに
 今日も街中オートフォーカス

 そこどこあそこに眼をばらまく
 容量オーバーあたぼうよ
 テーマ後づけいつものことさ



 ありのまゝに あるがまゝに
 ロディの器並べて満足

 へそくり貯めてようやく買えた
 となりの猫がさっそく狙う
 ベーッ!やんないよお前にぁw



 ありのまゝに あるがまゝに
 少年誌をむさぼり読んでる

 電車の中でカバーなし
 人の目は気にしない
 だって好きなんだもん!




 ありのまゝに あるがまゝに
 あるがまゝに ありのまゝに


 ありのまゝに あるがまゝに
 あるがまゝに ありのまゝに




 ありのまゝに あるがまゝに
 ガサツと言われ幾年も

 ありのまゝに生きてきて
 あるがまゝに生きている
 これが私だ文句あるか
 あるならじかに言いに来い






自由詩 「ありのまゝに あるがまゝに」 Ver.2 Copyright 長谷川智子 2008-11-01 09:24:10
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