「抱」
長谷川智子



今は
帰りのエクスプレス
成田で別れた
今も焼き付く蛍光灯の真白
新宿駅のホームを踏んだ数なら負けない自信が、ある
薔薇のポートレイト
「デューン・プール・オム」が残る部屋
無邪気な笑顔と寝顔とやあらかい空気
シリアル ジャンクフード
年に続けて2日取れればマシな休みにプレイしたハンゲーム
すべてが鮮明なままの記憶
睫毛と頬が触れる距離になってから3年半
次の10月を迎えられなかった
滴るものの熱さ
昨日まですぐそばにあった温もり
確実に宿ってる

確かに
あんたには向こうの暮らしが大切で
見せてくれたあんたのプライベートスナップ
ともに納まる黄金色の髪、透き通る白い肌の子供
鼻の形と笑顔がまるでコピー
迸る何かを感知する
必ずしも暗黒を伴ってるとは、限らない
それでもある
日々の些細な諍い
すれ違い
テンションのずれ
本当は甘えたくって泣きわめきたい夜も
そうじゃなくてもただ抱きしめてほしかった夜も
わがままもやむなく呑み込んで
そう、おたがいに
そこで要るのは我の強さ
と あんたをあんたとしてみつめる視点

すべて堪能して味わって
私の結論
「やっぱり、好き。」




自由詩 「抱」 Copyright 長谷川智子 2008-10-30 09:14:21
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