リューヌ 〜月という名前の黒い猫〜
未有花

リューヌ 思い出して私との約束
おまえはどこに行ってしまったの
ある日突然いなくなった私の猫

リューヌ 何度もおまえの名を呼ぶけれど
私に答える声はもうないの
ただおまえに似た夜がそこにあるだけ

ずっとそばにいるって約束したのに
どうしていなくなってしまったの
そのビロードのような毛皮を
もう一度撫でさせて
リューヌ リューヌ
月という名前の黒い猫
おまえは今どこにいるの

リューヌ 隣の町でおまえを見かけた
魔女とうわさのある家の前で
眠っていたおまえそっくりの猫

リューヌ 魔女の箒に乗って空を往くよ
もうふつうの猫には戻れないの
もう私のことなど忘れてしまったの

あんなにふたり仲良しだったのに
どうしていなくなってしまったの
またおまえのいない夜が来て
私はひとりぼっちよ
リューヌ リューヌ
月のような瞳の黒い猫
おまえは今どこにいるの


自由詩 リューヌ 〜月という名前の黒い猫〜 Copyright 未有花 2008-10-28 12:40:15
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