俄か雨
ヒジキ

街で見かけた似た人は、
君だったように思う

黙ってすれ違うただの他人

心地良い夢だった
「覚めないで」と願っていた
夢であると気付いていたから

忘れたくて、
忘れたくて、
この苦しみも、僅かな心地良さえも
「夢だったらいいのに」と願っていた
現実であると知っていたから


(きっと帰ってくるだろう
あの約束を果たしに
そして、
君はまた言ってくれるだろう)


そんな期待を息苦しく感じたら
とうに信じてはいないだろう
街で見掛ける似た人は

君なのだろう

ただの通り雨なのだろう
私を濡らしいつの間にか消え止む
俄か雨なのだろう


自由詩 俄か雨 Copyright ヒジキ 2008-10-28 08:58:21
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