ぼろぼろのつばさ 3
青色銀河団

[星]

星は、ちょっと寄り道をして、
俺んちで遊んで帰る、
幼稚園ときからのともだちだかんな、星は。




[さよならの国]

うさぎが泣いている
らくだが泣いている
らいおんが泣いている
そして
ちへいせんは
血のいろ




[船の雲]

うち転校するんよ明日
ひぐらし鳴く森の
高いニレの樹に
お別れしにきたんよ今日
明日になったら
あのおっきな船みたいな雲に乗って
転校するんよ




[冬]

はじまりはきみだった
やがていくつかの季節がすぎ
ぼくらは北風のドアをひらいた




[秋]

耳をすましてごらん
遠い恋は
かすかな音楽なんだ




[夏]

永遠の夏が
あればいいのに!




[春]

すれちがう星のあなたを
見上げながら野辺にたたずむ
あたしは透明な春の猫




[冬]

みえない鬼が
凍りつく
悲しさのあまり




[秋]

破れた包帯を
染める
天使の夕陽




[夏]

あおぞらの
かなしみが
まぶたにしみる




[浜辺]

空っぽの空だけがあった
ぼくはポケットに手をいれ
ぼくが生まれてきた理由を
たくさん数えようとした




[風]

淋しい人は罪人です
街のなかで
島流しにされているのだから




[海]

さがしにきてごらん
貝のなかに
ねむっているのは
愛なのですよ




自由詩 ぼろぼろのつばさ 3 Copyright 青色銀河団 2008-10-24 22:43:39
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