人間らしさ
かいぶつ

思い出すだけでも赤面し
発狂してしまいそうになるような
過去の恥ずかしい記憶や
出来るならばあの日に戻り
もう一度やり直したいような
後悔に苛まれる記憶を
僕はウンコをしてるときにかぎって
思い出してしまう

あの独房のような
狭い個室の真ん中で
まるで憎悪の塊かのように
忌まわしく強烈な物体を
苦痛に顔を歪ませ
呻りながら行う
排泄行為の真っ只中に
幸せな記憶を想起することなど
無理な話ではあるが

しかし何故にどうして
僕を牢屋へ閉じ込めた挙句
身動きが取れず
無抵抗なことをいいことに
やっとの思いで
心の隅に追いやった
今すぐにでも消し去りたい
記憶を引きずり出し
罵声を浴びせながらなすりつけ
侮辱し徹底的に蔑ますのか

白い臀部を晒し
白い便座に腰掛け
白いトイレットペーパーで
汚してしまった痕を拭う
そこには涙を拭うときのような
決まりの良さはない

だが便座に前屈みで座り
白い臀部を晒した姿
過去を後悔したり
恥じたりする行為
それこそが人間らしさ
なのではないだろうか
まるでウンコのように
不純物を吐き出す行為
それが芸術や表現
なんじゃないだろうかなんて
手を洗いながら
何となく思ってみた

「人間」

よく見たら人っていう字は
お尻の割れ目に
そっくりだもんなぁ


自由詩 人間らしさ Copyright かいぶつ 2008-10-15 18:59:25
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