超一流の鍼灸師
北大路京介

A こんにちは Aです
B Bです。
A よろしくお願いします
B お願いします
A 突然ですが、夢があるんですよ
B 夢って、なんやのん?
A うちな 超一流の鍼灸師になりたいねん!
B どんな世界でも一流の中の一流になるって難しいことやで
A もう すっごいレベルになるねん!
B すっごいって、どれくらい?
A ちょっと 私、これから その超一流の先生やるから、あんた患者さんやって

    芝居モードに入る

A 今日は、どうされました?
B 肩が上がらないんですよ
A どれぐらい上がらないんですか?
B ほとんど上がりません(重そうな肩)
A あぁ ホンマですねぇ。 じゃぁ、さっそく鍼打ちますね。 プスッ(鍼打つ)
  ゆっくり腕を上げてみてください

    B、ゆっくり腕を上げる

B あっ あがりました! ありがとうございます、先生!
A まぁ、それぐらいは朝飯前ですよ(鼻高々に)
B さすが超一流の鍼灸師ですね!
A 私ぐらいのレベルになると富士山に鍼打って、噴火させることもできます(鼻高々)
B そんなこともできるんですか?! 魔法使いみたいですね!(テンションあげて)
A 「東洋医学界のハリーポッター」っていわれてますからね
  鍼(ハリ)だけに、ハリポッターっと・・・ うまい!(うまいこと言った顔)
B (テンション急低下。芝居から漫才モードに戻る)
  うまくない!(説教っぽく)
  「腕は超一流でも、ダジャレは三流や」言われるで、あんまり喋らんほうが良いで
A (テンション急低下) ごめんなさい。反省するんで、続けてください。

    芝居モードに入る

B 先生、肩はあがるようになったんですけど・・・
A なんか他に困ってることあるんですか?
B このごろ、笑えないんですよ。笑う気分なれない みたいな
A なるほど。 私だけが知ってる秘密のツボがあるんで、そこに鍼打ちますね
B お願いします
A 笑う点と書いて「笑点」というツボがあるんですよ。
  まず、押してみますよ。 えぃ!(ツボを押す)
B チャラーン♪
A えぃ!(ツボを押す)
B こんぺいでーす♪
  ・・・。 なんですか、これ?
A あなたの潜在意識が その言葉を叫ばせてるんです
B はぁ、潜在意識ですか。 恥ずかしいです。
A 鍼打ちますね プスッ(鍼打つ)
 (笑点のオーニングテーマ)チャッチャチャ チャラリラ?
B チャッチャン♪
A チャッチャチャ チャラリラ チャッチャン?
B パフ! ・・・。 すっごい恥ずかしいです
  でも、なんか心ほぐれました。ありがとうございます。

A 私の辞書に不可能の文字はありません(鼻高々)
B 先生は、恋愛の悩みもないんですか?
A 私のダンナとも鍼のおかげで結婚へ
B 結婚相手も鍼で?
A いい男を見かけたら、後ろから鍼持って グサリ(後頭部に刺す感じ)
B グサリって! 警察に捕まりそうですやん!
A 家庭円満ですよ。もめ事も全部、グサリ、グサリで解決!
B (テンション急低下。芝居から漫才に戻る)
  ダメダメ! 鍼灸師のイメージ悪くなる(説教モードへ)

A 悪いイメージだけに「ダーティー・ハリー」なんていうて・・・
  うまい!(うまいこと言った顔)
B うまくない! ダジャレは言わない
A (テンション急低下) ごめんなさい。もう言わないんで、続けさせてください。

    芝居モードに入る

B 先生はなんでも出来るんですね?!
A その気になれば、年金問題も地球温暖化もガソリンの値上げも
  なんでも、わ・た・し・の 伝説の鍼で解決できます!
B (B、漫才モードへ)夢は広がりますねぇ
A 宝くじも当たるし、大きな家、ハワイに別荘、世界中の男達からはモテモテ
  (A、妄想芝居モードへ)
  タクヤ、マサハル、 もうやめて! 私のために争わないで!

B ホンマ、そんな夢が叶ったら良いねぇ
A 夢ぐらい見せてぇなぁ
  現実は、「ハリのむしろですねん」・・・ うまい!(うまいこと言った顔)
B (ツッコミ)もうええわ

A&B ありがとうございました(礼)




自由詩 超一流の鍼灸師 Copyright 北大路京介 2008-10-12 15:57:49
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