凌霄花
蒼木りん

のうぜんかつらはからまるの

のうぜんかつらはからみつき きにからみつき

いつかじぶんがきになるの


あの樹の下で抱きました

背に腕まわし触れました

確かに刻む鼓動の音を

しばらく胸で聞きました


のうぜんかつらはのうをきずつける

のうぜんかつらはめをつぶす だれのめをつぶす

ばちあたりがあるいている


花盛り女ざかりの眼差しの

表は裏のある顔隠せずに

いま濡れてきました

恍惚の身体ふらりふらり


のうぜんかつらはあめにぬれ

のうぜんかつらはゆらされて ゆりゆらゆらされて

のぼりはてるまでしめつけた


まるで別人のあの時は

誰も知らない女です

凌霄花の化身です

花落ちる前に

名も知らぬ男の手に摘まれます




自由詩 凌霄花 Copyright 蒼木りん 2004-08-01 00:29:12
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