愛へ落ちてゆく
ふるる

たった一人で
たった一粒の
愛へ落ちてゆく

街角で
目があった
おんなのふるくなったひとは
ばふん、と笑い
わたしは
カシャカシャカシャチーン
「仕事の顔」から「家の顔」になる

ああお母さんまたそんなセンスのかけらもない服
センスないトップスに合うスカートを選ぶからさらにノーセンス

でもまあいいわ
着ている服で煮物の味がおいしくなるわけじゃないし
たまには一緒に帰ってあげる

酒飲みのお父さん
センスのないお母さん
ついでに二人ともデリカシーもない
でもさ
長年連れ添うという奇跡を
起こしてるね

そういうの努力とは違う次元でしょ
わたしはどうでしょう
ねえ
おんなのふるくなったひと

あんたは
おんなのかるくなったやつだよ
口ばっかり達者になって
なんなの一体

いいもんね
わたしだっていつかはね

たった一人で
たった一粒の
愛へ落ちてゆく

ばふん、


自由詩 愛へ落ちてゆく Copyright ふるる 2008-09-30 19:54:54
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