宙ぶらり
naru

肉も骨も脳も
いらないとおもった
ぼくはそれくらいやけっぱちで
噛み付くように吼えた

どういう言葉が人を傷つけるだとか
どういう力が人を押しのけるだとか
頭の悪い計算はしなかった

肉も骨も脳も
いらないとおもった
ぼくがそれを差し出すのなら
世界も変わるとおもえた

この体を預かるといった人が
いなくなり
ぼくの体は宙に浮いた
ああ
こんなとき人は死ぬのだ

真っ白な頭になって
涙を一滴たらして震えた
ぼくの決意とは裏柄に
世界はびくともしないで
ぼくに呼吸を促した


自由詩 宙ぶらり Copyright naru 2008-09-28 02:29:35
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