創書日和【夜】夜に向かって
大村 浩一


書いて逆らうことを止め
暫く闇に流されてみる
空白は私を包んで
静かに冷える


蓄光時計は
カウントする
ゼロ−ワン、
光や熱の胎内で
確かに私たちは始まったが


彼方に光の帝国
それぞれ誰かが灯したもので
在るということは
そんなにも痛むか
消えるということは
消せないということは


陽光に晒されれば
人体が作るものはむしろ影だ
操典にも
移動には夜を待てとあった
誰かに見とがめられないようにと


小さな光の下で
通知書の封印が破られる
点滴の滴が落ちる
銃が受け渡される
貧相な宴が張られる
陳腐な唄が歌われ
ガラスが割れ女が濡れ
届かない手紙が幾通も綴られ
それぞれは それぞれの
夜に向かって


2008/9/24
大村浩一


自由詩 創書日和【夜】夜に向かって Copyright 大村 浩一 2008-09-25 12:42:06
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