自転車
じゅらいち

漆黒色した
精神科クリニックの
帰り道

高田橋で下車して
目の不自由な
30歳ぐらいの
太っちょな男性

白い杖を使って
ガードレールの
支柱の
こんこんする音で
道を確かめていた

 こんこん
 こんこん

自転車屋さんを
通り過ぎるとき

「じてんしゃ!」
おばはんの声がした

 こんこん
 こんこん

彼は消え去って行った


自由詩 自転車 Copyright じゅらいち 2008-09-23 23:03:21
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