予感
kauzak

夜の大学通りは遠くまで見渡せる
ポツポツと等間隔で並ぶ青信号
の青色ダイオードの光が優しい

君と手をつないで歩く歩道
たわいない話と温もり

曖昧に相槌を打ちながら
けやき並木が夜空に伸びるのを見ていた


歩行者用信号の点滅に急かされたように
つないでいた手をスルリと離して
君は向こう岸に渡ってしまった

取り残された僕が茫然と君を見ているのを
君も一瞬だけ茫然とした表情をして
すぐ薄く微笑んで向こう岸に佇むように立つ

どうして君は綺麗に手を離せるのだろう
傷さえ付けずに僕のそばから向こう岸へ

車の洪水が僕らを分かつ2、3分
君は優しいまなざしで僕を見ている
けれど

水がこぼれ落ちるように自然に君が離した
離れてしまった手が掴んでいる空虚が
怖かった


自由詩 予感 Copyright kauzak 2008-09-21 23:57:27
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