懐かしくて
吉岡ペペロ

二十代が終わるときは

なにも響いてこなかったのに

きょう三十代が終わる

なぜか十代さいごのときが

懐かしくなっている

べつに追憶を重ねているわけではない

ただほんとうに

十代さいごのときが懐かしいのだ


雨の日の予備校までの道のり

じぶんだけの音





書きかけの短歌

火薬が匂いで濡れていたのは


きょう三十代が終わる

なぜか十代さいごのときが

懐かしくなっている

十代さいごのとき僕には

世紀をこえるような感覚があった

べつに追憶を重ねているわけではない

ただほんとうに

十代さいごのときが懐かしいのだ


自由詩 懐かしくて Copyright 吉岡ペペロ 2008-09-21 10:09:07
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