しまい忘れた風鈴
あおば

               080920



すらりと抜いた
一尺五寸の長脇差しを
ギラギラギラと
光らせて
 めーとるほうだと
 えーと
  えぇぇっと
  ・・・・・.....
  電卓機能に縋り付く
5寸釘のろくべえさん
45.45455・・・ センチメートルに
捕まって
いつまで経っても
逃げられない
  割り切れない
  数字の力
  循環小数
  きりがない
時代劇が
大好きだ

小さな願いに
力を込めて
9月20日の鐘が鳴る
お寺の帰りに彼岸花
ソロバン片手の
ご先祖も
循環小数たのしんで
見えない風鈴
鳴らしてる

さらりと脱いだ
片肌が
日曜大工の
名刺の代わり
無理な力を
入れ直す
5寸釘が抜けないと
慌てた道具が
音を上げる
メートル法に馴れすぎて
昔の寸法を忘れたか
平方根を割り出した
曲尺のろくべえさん
5寸釘を打ち直す
小さな小言に
大きなちから
ガラスの風鈴
ちりんと鳴った




「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作、タイトルは、ちゃむさん


自由詩 しまい忘れた風鈴 Copyright あおば 2008-09-20 02:07:29
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