旅の一枚
かんな

久しぶりに会った
友人は相も変わらずで
夜中
ぐだぐだと話など
していると
近くの公園まで
散歩しようかと
いった具合で
出かけてみたりする
ふたり
満月に出逢う夜と
曇り空

昼間とはちがう
風景と
迷子になってみながら
一眼レフを
携えたように
カシャ
片目を閉じて
シャッターを押すと
この旅が
切り取られたように
一枚

いくつかの
コンビニを通り過ぎて
角を曲がる
ぽつり
呟いたのではなく
雨が滴ると
公園につく
ひとりとわたし
透明な土の上を
歩くように
心が浮いた

話しかける友人の声
と耳についた
小川の流れと
渡る橋に
パシャ
何かがはねる音が
心地よくて
テニスコートの
フェンスに
ふたりで共感する
同じシャッター

携帯の着信音が
響いた
現代の公園は
そんな音すら
違和感なく包み込む
などと
ぼんやりと考える
急ぎ足の帰り道
ぽつり
雨足も速くなる
ひと時

家に戻ると
冷蔵庫から
おもむろに出してきた
月見団子を食らう
友人の横で
過去をみつけるように
わたしは
この旅を思い
心の
フィルムの
使い道を考えては
この旅の
終わりをただ想った








自由詩 旅の一枚 Copyright かんな 2008-09-17 22:07:38
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