箱の中の罪少女
AKiHiCo
夜にだけ開く目蓋
過去の痛みを抱いて眠り
囚われたままの羊
棘が脚に食い込んで
そっと伝う紅
翠の眼の果てに映る
永遠の蒼は止まらない
堕ちる月を睨んで
民を殺すと誓っては
振り上げる剣は錆びたまま
ただ欲しかっただけ
未来を与えられぬ体躯で
望みもなく空虚な心臓
終わりを知った指先で
触れた水は温かく
何の為に生きてきたのか
答えは今も判らないまま
失望に抱かれている
闇を仰いであの夜を呪う
静寂が連れ去る先に
輪廻は在るのか、
再び繰り返される朝と夜
その間に救いはなく
この体躯に終焉もない
永遠を与えられた心臓は
紅を流してまどろむ
――赦さない