箱の中の罪少女
AKiHiCo

夜にだけ開く目蓋
過去の痛みを抱いて眠り
囚われたままの羊
棘が脚に食い込んで
そっと伝う紅

翠の眼の果てに映る
永遠の蒼は止まらない
堕ちる月を睨んで
民を殺すと誓っては
振り上げる剣は錆びたまま

ただ欲しかっただけ
未来を与えられぬ体躯で
望みもなく空虚な心臓
終わりを知った指先で
触れた水は温かく

何の為に生きてきたのか
答えは今も判らないまま
失望に抱かれている
闇を仰いであの夜を呪う
静寂が連れ去る先に
輪廻は在るのか、

再び繰り返される朝と夜
その間に救いはなく
この体躯に終焉もない
永遠を与えられた心臓は
紅を流してまどろむ

――赦さない


自由詩 箱の中の罪少女 Copyright AKiHiCo 2008-09-17 21:14:11
notebook Home 戻る