知恵の輪(習作
あおば

            080917


知恵の輪を潜る
2回転すると
どこからか
ほうという微かな溜息にも似た
歓声が沸いた

低鉄棒がずらりと並ぶ校庭の脇には
教育用の池が作られていて
くねくねと曲がって水を流す
水を節約するためにくねらせているのか
時間を長引かせるためにくねらせているのか
夏休みの池は水が涸れていて
水生昆虫は生息できない
池の畔の水を好む草だけが
なんとか酷暑にも耐えていて
ときどき降る雨が
彼らの干上がるのを防いでいるが
生憎折りたたんだ傘を持たない私には
なんだか皮肉たっぷりにも見えて
小憎らしい存在に思える

子供たちは野球に熱中していて
くねくね曲がる魔球を怖がるどころか
ショートバンドにすら
勇敢に立ち向かって
全力ダッシュを楽しんでいる

知恵の輪を潜ると
世界が逆さまに見えるかと
低鉄棒にぶら下がったまま
足を蹴上げて
空を見た


自由詩 知恵の輪(習作 Copyright あおば 2008-09-17 02:55:29
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