あの丘に立って
西日 茜
憎しみはとうに消えた…
生まれたときからずっと一緒だった
風は今も冷気をたたえ、凍えそうにして
私は待つ あなたを待っている
かつて野を覆った炎の残骸
黒く、さらに黒く焼け焦げた一本の樹に寄り添い
さらさらと、粉々になって飛んでいく灰の彼方に
あなたの幻を見るとき
一頭の白馬がなだらかな丘を駈け抜ける
どれだけの時が流れたのだろう
どれだけの悲しみを与えたのだろう
すべてはまるで長い長い冬眠のような
満たされぬ想いは安住を求めないまま
独り、記憶の丘であなたを待つ
永遠に
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タナトスの城