あの丘に立って
西日 茜

憎しみはとうに消えた…


生まれたときからずっと一緒だった
風は今も冷気をたたえ、凍えそうにして
私は待つ あなたを待っている

かつて野を覆った炎の残骸
黒く、さらに黒く焼け焦げた一本の樹に寄り添い
さらさらと、粉々になって飛んでいく灰の彼方に
あなたの幻を見るとき
一頭の白馬がなだらかな丘を駈け抜ける

どれだけの時が流れたのだろう
どれだけの悲しみを与えたのだろう
すべてはまるで長い長い冬眠のような
満たされぬ想いは安住を求めないまま
独り、記憶の丘であなたを待つ


永遠に






自由詩 あの丘に立って Copyright 西日 茜 2008-09-15 16:38:57
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。
タナトスの城