グラビディエンジェル
秋也

高度に発達した文明が
天使に犯されたいと
泣きわめいている
超高層のビルの上から
ふわふわの羽もないくせに
飛び込む
世抱え人
莫大な金は積めても
聖書の一部も拾えない
一枚の紙幣を何重の何乗にも折って
厚みを増せばすむだけの話かもしれないのに
微笑みよりも
痛みが占める
地下で
煙草ふかしながら笑ってる聖人が
落ちてくる人を諭した
「そうかもしんないけどさ
だからって
本を無理やり最後の方から
読みたくることはないんじゃないの
わけわかんなくなっちまうよ」
大きく煙を天使の片羽へと編み込みながら
もう一言
「俺は今やっている作業が楽しいけどね」
でも
これ
肺痛めるし

前にしかだせないんですわ
内なる真実
黙して真理へ
重力でプレスされた
物体
遠くから
スピードを上げて
突っ込んだから
天使に上から犯されたみたいだ
こんなに
スピードを上げて
こんなに
自然に
必ず膣から滴る
赤い日
生理のように
過ぎ去って
文明を進めたのに
まだぶつからない
まだ地面がない
積み足りないのは金か文章か死骸か
絶対数が足りない
まだまだビルは高くなる
圧縮された天使に軽い気持ちでラブコールを





自由詩 グラビディエンジェル Copyright 秋也 2008-09-13 23:58:51
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