グラビディエンジェル
秋也
高度に発達した文明が
天使に犯されたいと
泣きわめいている
超高層のビルの上から
ふわふわの羽もないくせに
飛び込む
世抱え人
莫大な金は積めても
聖書の一部も拾えない
一枚の紙幣を何重の何乗にも折って
厚みを増せばすむだけの話かもしれないのに
微笑みよりも
痛みが占める
地下で
煙草ふかしながら笑ってる聖人が
落ちてくる人を諭した
「そうかもしんないけどさ
だからって
本を無理やり最後の方から
読みたくることはないんじゃないの
わけわかんなくなっちまうよ」
大きく煙を天使の片羽へと編み込みながら
もう一言
「俺は今やっている作業が楽しいけどね」
でも
これ
肺痛めるし
煙
前にしかだせないんですわ
内なる真実
黙して真理へ
重力でプレスされた
物体
遠くから
スピードを上げて
突っ込んだから
天使に上から犯されたみたいだ
こんなに
スピードを上げて
こんなに
自然に
必ず膣から滴る
赤い日
生理のように
過ぎ去って
文明を進めたのに
まだぶつからない
まだ地面がない
積み足りないのは金か文章か死骸か
絶対数が足りない
まだまだビルは高くなる
圧縮された天使に軽い気持ちでラブコールを