息を止めるように
霜天

ゆっくりと
息を止めるように一日を仕舞う
箱の中のガラクタはいつも
明日になれば綺麗になっているから


ゆっくり、と
息を
ここ、に戻す
主のいなくなった
家の、傾き
通り沿いの廃工場
ひびの入った天井の
隙間から覗ける、空
いろんなものが揃いすぎていて、街は
ひとつの個体として、それまでに
留まるように、囁いて
それからに
燻って


息を、止めて



息を止めるように、一日を仕舞って
沈みかけた手を繋ぐために、一日を始める
続く日まで続けていけば
人の背中も溶けるだろうか


雨が降る
昨日の可能性を説きながら
君が、溶ける
個体の街が灰色に煙ると
呼吸が少しだけ、楽になる
ひびの入った天井から
継ぎ目の入った空が見える
一日を仕舞って
明日を、吐き出す
その次にはきっと
綺麗になっているから


つかむように
息を止める

止め続ける


自由詩 息を止めるように Copyright 霜天 2008-09-13 22:56:45
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