レトロブルー
梨玖

綺麗なだけの水の中 

廃れることのないこの体

頭の中は常に霞み 

視界は晴れることなく歪む

全てが溶ける部屋で僕は現実を知った



閉じ込められたままの僕等

泳いではまた行き止まりになる向こうがわ

深い底に沈んだ誰かの欠片

せめてもの餞へ哀歌を唄ったけど

悲しみににも似た藍色の中

どれだけ声を枯らそうとも

決して届きはしない

この酸素の無い中



閉じ込められたままの僕等 

泳いではまた行き止まりになる向こうがわ

それでも青は巡り続ける 

たとえ息を止めたとしても

涙にも似た液体の中 

傾き始めた僕等の白い世界は

少しずつ綺麗に溶けていくのに

まだもがき続けている

この酸素の無い中


自由詩 レトロブルー Copyright 梨玖 2008-09-05 20:18:03
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