明楽

ジ ジジジ ジジ と
壊れた発条のような音が聞こえる

ああ 夏を謳歌した者
命をくしけずる風に中てられたのだろう
もう次の時間は
始まってしまった


それぞれの季節
その節目には
命をくしけずる風が吹く

そうして自然は
逝き遅れたものたちを
静かに還してやるのだ

そうしないと自然に
終われない者たちもいるから
しぃんと蒼く深い
哀しみをたたえた慈悲のこころで
風は吹くのだ


やさしい息吹がほほをなでゆき
そらり と
発条を止まらせた


自由詩Copyright 明楽 2008-09-03 22:33:52
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