風の中をあるく
yo-yo

今日もいちにち
風の中を歩いてきた
ひとは揺れている雑草の
つくつくぼうしだった

音は声となり
形は姿となり
匂いは香りとなり
色は光となるように

風景は風光とならなければならない
と山頭火は日記に書いた
風を追って
風の明暗をたどった

何を求める風の中ゆく
明と暗を
光と影を
版画家はいちまいの板に探り続ける

風の姿がなかなか見えない
化けものを観ろ
化けものを出せ
志功の言葉が化けものだった      
*志功=棟方志功

さて、どちらに行かう風がふく
風の中をゆく人の
風のことばを板に彫る
この旅は、果てもない旅だった

すわれば風がある秋の雑草
とめどなく
無骨に刻まれてゆく風のことば
ことばは風に似ていた





自由詩 風の中をあるく Copyright yo-yo 2008-09-03 07:54:14
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