やさしいさんすうに殺される。
ki

早くしないと両手をもぎ取られてしまう
ころされちゃうよー
と両手をあげて走る
こども、


飯を食らわないと動かない体がもどかしい。
10秒チャージ2時間キープでって、12時までじゃん
仕事が終わらない。
終電のために足を必死に動かした。
小さな心臓が遺体、
ストラップサンダルを履いた両足を傷つけて、
赤く泣いた彼女のきれいな肌は、
倒れてる人をいつものことだと思いながら、
そのボリュームのあるお尻に触りたい、
女性の太ももに手を触れたい一心で
彼氏に手を曳かれて行く彼女を
止めたい一心で
やさしくない、日常を止めたい一心で
やさしい人が、私の愚痴をわかるよって同意してくれるけど、
違うそんなんじゃないんだよ
でも、すきだよ、
わたし、はじめてなの、やさひくして、
カバンの中でやさしいさんすうがごとりと
生首が落ちるみたいな音をたてて
死ぬから、私は怖くていつだって耳をふさぐ
やさしくなんかない、
向こうで人が怒鳴ってる
のを私はいつかの海を透かした瞳で見ていた
ざばーん
ざばーん
と波音は規則正しく
声は途切れ途切れで
貝殻で足を切る
ペットボトルの中に
何か入ってないか
ひかり
ちかり
見えない
ばちんと
花火が頬ではじけて
海が目ぇからあふれ出て
冷たい風が頬にあたって

やさしいさんすうがたくさんのゴミと一緒に燃える
何も割り切れないんだ、と私は。
夏が終わり、
どんな顔して、あなたの顔を見れば良いのかわからない。
恋した中学生みたいだ、


自由詩 やさしいさんすうに殺される。 Copyright ki 2008-09-03 01:51:21
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