ある日のデッサン(2)
かんな


さびしさにかられては二人称にあなたを選んだ、そんなときから、後ろを向けばあなたがいつもいるような、まぼろしをみせられていました。雲が光をさえぎったような天気の下では、誰しもが悲しくも、切ないような思いを抱えると見せかけては黙っている。

過去を謙遜などしているから今もきちんと見れないのです、などと偉そうに説いてみた未来のわたしは、一輪車にも乗れない不器用な女の子でした、でした。バランスの悪いシンメトリーのように天秤にかけられてはかたむく、そんな月曜の午前2時。

鍵をなくしたジュエリーボックスの中に入っていた、忘れ形見のようなブローチを、場違いのように右胸につけてみました、あなたのためだと偽りのように。9月1日が誤ったエイプリルフールのようにおしよせた秋。

ことばが見つからなくなったそんな時には、残り少なくなったシャープペンシルを何度も何度も押すことを試みるような無駄なあがきはしないで、ボールペンに持ち替えます、臆病なわたしが聴いた、遠くから聴こえるサイレンと、雑踏の中で歩く人々がおし黙ったままのサイレント。

どちらも許せなかったわたしが罰をつけたそんな解答用紙に、まるですべてを許してくれたようなあなたの○が薄っすらと見えた、地球儀のように世界を小さく出来たなら、あなたもわたしもこんなちっぽけな出会いに感動なんかしなかったね。



自由詩 ある日のデッサン(2) Copyright かんな 2008-09-01 16:56:45
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