【詩とは何か祭り参加作品】 枯葉に満ちた山の向こうへ
紫音

色づく
  赤に
   茶に
    橙に
  モ
 ザ
      イ
    ク
 のように

やがて散りゆくことを知らず
絶える直前が美しいのだと
旅人は言ったとか言わないとか

追い立てるように
 風
  は
 吹

知らず気づかず時は駆け
やがて、は、もうすぐ、になり、いま、になる

時計の音は命を削り
きのう、きょう、あした
旅人は
 もう
  いない

指を立てても
風を感じることはできず
目を見開いても
散りゆく葉を見ることもできず
旅人の温もりは冷たく固く
美しさは儚さと同衾する


言ったことも言わなかったことも

やがて

もうすぐ、いま、散って
 ゆ


残骸と成り果てて
とうの昔に絶えてしまったとしても
風に翻弄されつつも
舞い踊り
 舞い散り
  舞い去り

言の葉は
死んでも詩として

風の翻弄の中で
時の吹き荒れる中で

死してもなお
 色づき
  舞い
   駆ける


色づく死
言の葉が満ちた
山に登ろう

理由は必要ない

そこに


山があるのだから


自由詩 【詩とは何か祭り参加作品】 枯葉に満ちた山の向こうへ Copyright 紫音 2008-08-28 01:01:21
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