空転
佐々木妖精

有給休暇って
いてもいなくてもおんなじってことかと
でんぐりがえってみるも
着地したことがない
居留守を決め込んだつもりが
嗅ぎつけられ
つむじの位置を見失う

夜な夜な蛙が鳴いている
耳栓をし
浸入を拒んではみたが
おたまじゃくしが打ち寄せる
寝苦しさを紐でつなごうと
さなぎになるのを待ち構え
目をギラつかせているのだが
闇に乗じて手を生やし
四股で地雷をかいくぐる

でんぐりがえり
よんかっけいの湿原をかきわけ
やっと騒音を手にすれば
黙秘されてしまうし
弛緩した結び目を瘤にして
白い腹を手で叩く

でんぐりがえった蛙が
拘束する指を蹴り
冬を見据え消息を絶つ
四季を達観し
目覚める夢を信じるものよ
次の夏など
おぼろくまどろむ私には
見えもしない
真っ白なお前の腹が
今も顔を覆っている


自由詩 空転 Copyright 佐々木妖精 2008-08-27 00:09:56
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