青空家族
木屋 亞万

駐車場にちゃぶ台があって
さも当然のことのように
家族がそれを囲んでいる
夕飯
一家団欒
座布団もない
ただ、ちゃぶ台だけ


楽しそうな会話
夕日が横顔を照らす
ひじきの煮物
秋刀魚に大根おろし
つやつやの白い御飯
ちゃぶ台しかないのに
どこから出てきたのか
皿や服を収納する
場所もなければ
冷蔵庫も炊飯器もない


息子の学校での活躍話を
熱心に聞いていた父親が
しげしげと眺めている
私に気付いたらしく
話と食事を終えて
こちらへやってきた


 ちゃぶ台さえあれば
 家族は大丈夫なんです
 一緒に夕飯を食べる
 家がなくても
 テレビがなくても
 別々に暮らしていても
 このちゃぶ台が
 僕らを家族にするんです


日が暮れてしまう
彼らは当然のように
それぞれの家に
帰っていく
駐車場の隅に
ちゃぶ台が
立て掛けられ


食器を抱えて
去ってゆく
母親の背中



自由詩 青空家族 Copyright 木屋 亞万 2008-08-26 01:12:49
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