うんめい
nonya


どんな味がするんだろ
塩焼きにしたら美味しいのかな
唐揚げにしたら胸がやけそう
なんだかそんな気がするよ

どんな形をしてるんだろ
ストラップにしたらカッコイイのかな
リングにしたらキザになりそう
なんだかそんな気がするよ

昨日の帰り道に正ちゃんが
おまえの背中に貼りついてるの何?
なんて大きな声で言うものだから
すっかり背中に張りついちゃったじゃないか
黙っていてくれたら気づかなかったのに

父さんが死んだことも
母さんが死んだことも
姉さんが結婚しないことも
僕が未だに馬鹿だってことも
予め誰かの日記に書かれていたら嫌だな

大人は悟るのが早過ぎて
訳知り顔で道を説くふりをしながら
長い物に巻かれているけど
ちょっと違うような気がするよ

大人は諦めるのが好きで
時々自分の中に溜め込んだガスを
口から吐きながら力なく笑うけど
ちょっと違うような気がするよ

確かに否応なしに
昨日から今日へ運ばれてしまった僕だけど
確かに為す術もなく
今日から明日へ放たれるであろう僕だけど

流されているんじゃない
決して
流されているんじゃない

流れているんだ
僕は僕の力で
流れているんだ

たぶん
流れているんだ

なんだかそんな気がするよ


自由詩 うんめい Copyright nonya 2008-08-21 18:52:48
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