いつもの中で
F (from send-ence)

朝 起きる 顔を洗う カーテンを閉めきった部屋からでは見えなかったけど
今日も陽は 昇ったみたいだ
何か食べたい…
消費期限切れの牛乳 温めすぎた100円ハンバーガー
昨日当たった10円ガムの“あたり”が妙にうっとおしく感じたんだ

20秒に1回は折れるシャーペンの芯に 雨の日濡れて散々な新聞に
何か忘れていく僕らに 何かを忘れた頃すら忘れた僕らに
ちょっとやっかいな世の中だ

気が付けば流されている 流された後で気付く
だからこそ“後悔”って言葉があるんでしょう?
流されやすい僕を どこまでも流してくれる平和な島国で
能のない鷹を演じてみた
「おいっ! 丸見えだぞ!」

おはよう いってきます ただいま おやすみ
オートメーション化されてる毎日
中まで火の通っていないアジフライ2尾
「おっ ちょっとすっぱい臭いが」な牛乳
見分ける力 マニュアルな技術
全自動で胃まで運んでいくほどじゃない

何か拾った もう持てない 「代わりに捨てて」 言われるままに
捨てたことすら思い出せない僕らに
なんだかやっかいな人生だ

ある日突然 何も持っていなかった事に気付いたときに
ある日 からっぽな自分に気付いた時に
僕の言う“世の中”は “ない”僕を通り抜けて 置いてけぼり
“ない”ものを流すことはできないから
肝心な時に 役に立たない 僕の体だ

そんな僕の 忘れやすい僕の 忘れられないあの娘
忘れたくても 忘れられない 一生懸命だったあの娘に
やっぱりいまだラブってんだから
しぶとい僕の
やっかいな話だ


自由詩 いつもの中で Copyright F (from send-ence) 2004-07-23 04:22:32
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