溶ける海
フクロネヅミ

宇宙は水飴色です
ゆっくりと
ながく
うみに似た時間の中で
シクリと微笑んで
星は甘い時間を漂っています
例えば恋人のこととか
例えば死んでしまったこととか
そうして
いつか忘れてしまって
ピカッ
と最後をとげるのです
命を歌ったアンタレスが
もうすぐ
命を忘れてしまいます
そうして
ぽっかり空いた部分に
シャトルがネオンを埋めるのです
宇宙は水飴色です
異物がぽつぽつ刺さる夜は
キラリと泣いて
ずっと遠くへこぼれていきます
例えば思い出話とか
誰もが忘れてしまった小さな過去を
そうして飴色な夜の底に
やさしく留めておきたいのです


自由詩 溶ける海 Copyright フクロネヅミ 2008-08-14 19:37:45
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