白魚
千月 話子
あの人の ま白な指が
麦茶 冷やす 流水の川を
チロチロ と 泳ぐ朝
日傘の 影から
「日に焼けたくないのよ」 と
うなじに一つも 汗をかかずに
水辺色に 魚跳ねる
絽の着物 着て
サラサラ と 出かけます
お昼に茹でた そうめんの
カラカラ と鳴る氷水から
早いもの勝ちの 色付きを
数本 スイ とすくい取り
嬉しそうに 口元に手を添えて
フフフ と きれいに笑う人
自由詩
白魚
Copyright
千月 話子
2004-07-23 00:27:28