不透明な夏
笹子ゆら

夏は不透明だ、と思いはじめたのは
考えてみれば最近になってからなのに
ずっとそんな風におもっていたみたいな気がして
どっちなのだろう よくわからない

喉にペットボトルの冷たい中身を流し込むと
身体が逆に熱気を帯びていくような、
そんな錯覚を、得る

  まばたきをすると
  暑さで世界が揺れていた
  ゆらゆら、ゆらゆらと
  溺れてしまいたい

なんで、夏だからといってみんな
そんなに輝けるのだろうか
気付いていない
こんなにもくすんだ季節だというのに
なにも見えなくなってしまうのに


手のひらが水滴で濡れている
近くで鳴いているはずの蝉の声がやけに、遠い


自由詩 不透明な夏 Copyright 笹子ゆら 2008-08-09 23:10:19
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