言葉の裏側
ななひと

言葉の裏側は、足の指のような不揃いさで、
感触 呼吸と名付けられた ふわりと
羽根を広げる 鳥のような舌 見上げられる影 のように歩き
足音 おそらく成長の凍え 沈着と 隣り合わせの揮発
重曹のように、白く 重たげに 
そり返される手のひら のような埋葬 を
吸い込んでいく ように広げられる腕の風景
何も受け止めず 踊ることもない 薄雪の時間を
足跡は 刻印のように 引き掻いた
肌に残る音 …そのとき。ちょうどそのとき。
脂肪のように冷たい孤独は言葉のかたちをして体内のあちらこちらで降る。
遊覧船 波が帰ってくるまでの時間は、
じっとしたまま 肌が 凍るまでの 短くて
か細い 時間。


自由詩 言葉の裏側 Copyright ななひと 2004-07-21 16:59:49
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