冷やを一献
佐々宝砂

庭先にすずめたちがいて
すずめのてっぽうが生えていて
猫は砂利の上に寝転がって
ぎい、と蛙の声
ベルギー流の燗つけビールを飲もうか
中国流の人肌ビールを飲もうか
いや今日は
常温の日本酒を飲むことにしよう
と決めて
台所の床からごそごそ取り出す一升瓶
常温の日本酒を冷やと呼ぶのだぜ
そんなこと考えて飲めば
きっと常温だってひんやり感じるだろう
猫よ猫
そんな毛皮着て暑くないかい
呟きながらコップ酒を口に運ぶ

夕暮れの空から
大きな雨粒が落ちてきて
庭の落ち葉たちを踊らせる


自由詩 冷やを一献 Copyright 佐々宝砂 2008-08-05 19:50:37
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