蝉の抜け殻
服部 剛
街路樹の葉群から
蝉達の合唱の降り注ぐ
夏の散歩道を歩く
額の汗を拭うと
数日前傷ついた右手の
瘡蓋
(
かさぶた
)
が
いつのまに剥がれていた
唇をぐっと噛み締める時を経て
きっと全ての哀しみは
いつか剥がれる
街路樹の葉群は揺れて
みどりの風は
散歩道を吹き抜ける
ふと見下ろした
足元に
蝉の抜け殻が、ひとつ。
自由詩
蝉の抜け殻
Copyright
服部 剛
2008-08-03 22:14:26
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