光溝
木立 悟
雨の終わりの無数のうちの
ひとつは残り 無数は去る
雨の終わりはつづいてゆく
午後が午後へ差し出す傷
土にこぼれ
土は黙る
封じ忘れた光から
誰も通らぬ道がのび
かつて川だった荒地へむかう
こがねの蛹を見つめ
暗がりのすべてが震え
またひとつ朝を忘れる
光の木 光の髪
光を光に受けとる肢体
仮のままに引き継がれるもの
涸れ川を巡り 到く音
中洲の岩が崩れていて
帰路の片方は失われる
何かが去った透明を
突然の羽が通りすぎ
そうであったかもしれない姿を映す
痛みのはじまり
上と下の青
水たまりの道をつないでゆく