吾子
蜜 花



吾子

あなたは ひのひかりを 
いっぱいにうけた ほうせきを
おおきな はっぱのうえに みつけましたね
あなたのめは ほうせきよりも 
きらきらと かがやいていました
あなたのみつけた ほうせきのなまえは

テントウムシ

といいます



吾子

あなたは テントウムシを てのひらにのせて
わたしに みせてくれましたね
うごきまわる テントウムシを にがさぬよう
ぎゅっとにぎりしめた そのてのなかで
ちいさなひめいが きこえました


吾子

ふたたび てをひらいたとき
あなたのほうせきは 
もうかがやきをうしなっていましたね
あなたはふしぎそうに 
つついたり いきをふきかけたり
それでも ほうせきは 
もうかがやきませんでしたね


おまえのてのひらにあるもの
それが 死 です
かがやいていたもの
それが 命 です
おさないおまえには わからぬだろうか


吾子

よのなかには だいじに 
たいせつにおもうものが
きっと たくさんあります
それらは 
あなたのおもいに たえられるほど
つよくはないもの ばかりでしょう

だいじになさい
だいじになさい

わたしがあなたにするように

だいじになさい
だいじになさい











自由詩 吾子 Copyright 蜜 花 2008-07-28 20:55:57
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