ソーダ
山中 烏流

 
 
夕暮れ色のカーテン
 
宇宙を纏った私から
紺色が滲むのを
面白がってしまうのは
いけない
ことでは、ない
 
 
茹だるような季節には
いつも
特有の風が吹いて
 
そんなことを
思わせるのです
まだ、こんなにも暑いのに
 
 
雲雀が鳴いて
私はいつもより
大人びようとしていて
 
その、もどかしさに
胸を
握り潰す真似をしました
 
グラスを傾けて
水滴が煌めいたことを
ほんの少し、羨みながら
 
 
ああ
まだ、こんなにも暑い
 
 
私の指先は
窓枠をなぞったあと、
粘ついた空気の中を
すいすいと
泳いでいきます
 
傾けたグラスは
かたり、と倒れて
 
だらし無く零れる
その一滴一滴を
私は
美しい、と
感じたのです
 
 
肌を滑る水滴は
私の奥を
しめやかに凍らせて
 
眠気を誘います
まだ、こんなにも
 
 
 
暑いというのに、
 
 
 
 
 


自由詩 ソーダ Copyright 山中 烏流 2008-07-20 20:24:19
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