こころ
二瀬

暗い受難が
名もないアスファルトの海に

堕ち、

て、


、産まれ





1.

座り込む前、私は知っていた

焼けた夕陽を目にする度
自分の踵から伸びている暗い樹木が
確実に
輪郭から地面に溶け出していること

私は交差点を横切る者
二つの蒼い
ネオンライトになろうと

最後の暗い情熱のあげく 路に焦げついた

あなたは私を見つけられない

私は交差点に敷かれる者
あらゆる向きの方向性


2.

私を捜して

君は
交差点で転がっている
透明な体を抱えながら
靴だけはしっかり履いて

俺はここだ ここにいたんだ

必死にそう叫ぶので

思わず私は凝視してしまって
今晩の悪夢に挨拶をした

いつの間にか押さえていた
額の
重苦しさを吐き出すように

明日、もしくはすぐにでも
あの靴は捨てられて

私も 誰もが

君を殺し始める


3.

お前はここだ あそこだ 

 本当は すべからく どこでもいい

かつて
私であった者を
私は引き剥がしていき

その後に決まって残される
一つ一つの黒い砂場の模様が
汚れてしまった爪のように見えて
かつて握ったその子の指を
思い出しながら
丁寧に名前を読み上げていく

1、2、 3、、、

その他


4.

振り返れば
私は知らなかった

交差点に座り込む前

私は私でないものの名前で
呼ばれ続けていた


  心は虚飾だよ
  私を照らしているのは
  嘘だよ
  嘘が輪郭を浮き彫りにして
  私を守るんだ
             」


交差点の端っこで
透明な体を抱えた君に

どちらさまですか

そう聞かれたから


未完成の悪夢です

そう答えたんだ




自由詩 こころ Copyright 二瀬 2008-07-20 19:00:19
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