ミーミ
モリマサ公

向こう岸のビルの群れ
肉色の雲の腹がひろがり
黒い飴色をした東京湾が凪ぎながらゆれて
高速道路が時間のように巡っている
血だらけな手も足もたくさんあるのよ
あたしたちみんな輪郭を共有してるの
ばらばらにつなぎあわせて顔だっていろいろあるのよ
太陽の黒点の中にすんでるから
おっこちていくすこしずつ焦げながら
準備がみんな整って白昼みているのはデータ化された家族
アルファベット文字のネームタグをつけて
ミー
サーガをたどるファミリートリー
サドルの盗まれたままの自転車は焼け付く
からっぽの水でっぽう
昼寝の間中勃起してるブラザー
ママ
プールの中の油断とエコーのベイビーも重力が半分すぎ
グナイウラヌス
レンタルされた車の中の練炭がすこしずつ燃え
ファミリー
朱色の野いばらにほらみんな歯ぐきをみせて
はい世界中の公園の無人のブランコ
背中を押す
ドン
銃声
たたたたん
残酷な景色とその意味というだけな壁
穴だらけの水たまりの太陽を砕いてハミングする
決してくり返さない空の色とこころのひだのリアリティ
ぼろ雑巾のような猫がよこぎる
アスファルトにしみこむ様々な大きさのたましい
コンクリートを舐めながら有刺鉄線の向こうの
落雷を無邪気に食らう木を見てる
ハロービーナス
てゆーかシスター泣かないで
刃物たちのカーブがきらめく
公衆便所の便器の上の未使用のスキンがはなびらみたいでマル
パパ
サマーコンコルド
これ以上二度とあやまらない




 


自由詩 ミーミ Copyright モリマサ公 2008-07-18 22:21:02
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